Social theme books 第9回「社会の真実の見つけかた」岩波ジュニア新書
本日は、ジュニア向け新書と震災をテーマにしたコミックをご紹介の二本立て。
まず第9回更新はこちら。
「社会の真実の見つけかた」岩波ジュニア新書、堤未果著。
著者は「ルポ 貧困大国アメリカ」で有名ですが、本書では主にアメリカ、および日本の事例を取り上げ、メディアの情報に振り回されずに自分自身で真実を見つけるにはどうしたらいいのか、ということを述べています。
章立てはこんな感じ。
第1章 戦争の作りかた 三つの簡単なステップ
第2章 教育がビジネスになる
第3章 メディアがみせるイメージはウソ?ホント?
第4章 社会は変えられる
ざっくり言うと、アメリカはいかにして戦争へと突入していったか、そして教育問題がいかにして酷い状況に追い込まれていったか、で徹底して絶望的な状況を知らしめてくれるのが1、2章。
そして、メディアについて述べることで、「社会の真実」はいかにして見つけだすことができるか、その具体策を含めて述べた第3章、そして見つけ出した真実を元に、いかにして社会を変えていけばいいのか、を述べた第4章となっている。
ネタバレにならない程度に3章の締めの部分を抜粋すると、
「真実を見つけるには、ただ座って待っているだけじゃ駄目」なのだ。
誰かが差し出してくれる情報にばかり頼っていると、いつの間にかフェイクをつかまされてしまう。
テレビに新聞に携帯電話、iPadもTwitterも、すべてはどんどん進化する「道具」にすぎないのだ。
(中略)iPhoneという窓口を通してみる世界も、私たち次第でその大きさを変える。窓の向こうにある膨大な情報の中から「本物」を選り分けるために、しっかりとアンテナをたてて本物をつかむのは、使う側の私たちなのだ。
(引用ここまで)
*あえて注釈をもって言えば、このブログエントリを書いている私の言う事をそのまま鵜呑みにするのではなく、これを読んでいる方それぞれが自分自身の頭で判断してほしい、という気持ちも込めて引用させてもらった。
そして、4章では、
「ネット」に「数」そして「時間」という道具を使い、いかにして社会を変えていけばいいのかについて言及している。
この本が出たのは2010年末。
日本でもネット選挙が解禁され、様々なケーススタディが得られた。
ネット選挙はまだまだ社会を変えたと言うには早急だが、まだ始まったばかり。
私たちが社会を変えていけるチャンスも、まだまだ残っているのだと、
この一冊は私達を励ましてくれる。
日本の社会情勢、マスコミ、選挙の結果などにうんざりしている人も多いと思うが、
そんな人に希望をもたらしてくれる一冊である。
ジュニア新書なので、学生さんにもぜひ挑戦してみてほしい。
この本が広く読まれますように。