Social theme books 第10回「はじまりのはる」講談社アフタヌーンKC
連載もついに二桁に突入。
というわけで、ここらでちょっと変化球、コミックのご紹介。
とはいえ内容はド直球です。
3.11後の福島でのリアルを描いたフィクション、「はじまりのはる」端野洋子著。講談社アフタヌーンKC。
Twitterで某科学者の方が言及されていたので、さっそく買って読んでみた。
すごい。このコミックには、東日本大震災以降の、福島県のリアルがある。
描かれているのは、福島県中通り南部に住む高校生たちの失意と希望。
福島県在住の漫画家、端野洋子さんによる、綿密な取材と調査によるしっかりとした「リアル」を描いた、あくまでもフィクション。
でも、どんなノンフィクション作品よりも、伝わってくるものがある。
この作品、「失意」から逃げない。
いや、逃げようとする登場人物たちも見受けられるが、作者の姿勢として、
これだけの失意があの時の(そして現在に続く)福島にはあるのだ(あったのだ)と
きちんと伝えてくれる。
その上で、登場人物たちは、それぞれ自分の足で立ち上がり、希望を見いだしていく。
その過程がとても素晴らしい。
こういう言い方はアレだが、「100万部くらい売れろ!」と思わせてくれる一冊である。
2014年3月時点で2巻まで出ている。
1巻につき100万部くらい売れてくれ!そう願わずにはいられない、
「3.11というあの日」以降を生きる全ての日本人に読んでほしい一冊。
(僕は「読むべき」という言い方が好きじゃないので、あえてそうは言わないけど、
そう言いたくなる一冊です)