アオイの好奇心

筆者(アオイ)の個人的な好奇心に基づいて、自由気ままに綴るブログです。

Social theme books 第4回「僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか」幻冬舎新書

Social theme books、本日は頑張って2本更新します。

これも再読組なのですが、荻上チキ著「僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか 絶望から抜け出す「ポジ出し」の思想」幻冬舎新書

 

 

 

この本の帯には、「朝まで生テレビ」「ニッポンのジレンマ」を1人でやってみました。という一文が書き添えられている。

で、確かにそんな内容で、いま現在(この本が出たのは2012年11月)の日本社会が、いかにして今のような状態に至り、それを現実的にどうすれば改善していけるのか、について、様々な問題点に触れながら横断的に語った一冊である。

 

キーワードは、サブタイトルにも含まれている「ポジ出し」。

ダメ出し、の対義語として取り上げられており、

例えばこんな感じ。

 

デフレ問題 (ダメ出し)成長は見込めない

      (ポジ出し)名目GDP増の時もあり。パイを増やそう

 

バラマキ政策 (ダメ出し)けしからん

       (ポジ出し)経済的弱者への適切な再分配は必要

 

財政問題  (ダメ出し)政治家がまず身を切れ

      (ポジ出し)削れる額がショボい。別の道を

 

いかがであろうか。

具体的にそれぞれの問題について、メリットデメリットを踏まえた上で、

現実的に意味のある改善策を出し、実行していく、それが「ポジ出し」。

そうして、社会を少しずつでもアップグレードしてくことが必要、と著者は述べている。

 

荻上チキ氏と僕とは1つだけ共通点があって、1981年生まれの男性ということ。

たったそれだけの繋がりではあるが、これだけ現実的な考えを持ち、

きちんと主張できる同級生がいることに、希望を感じた一冊である。

 

若手と思って侮るなかれ。田原氏の次に「朝生」の司会に抜擢?なんてウワサもあるほどの論客なのだ。

 

この本を読んで思ったのは、一般の人の経済学的な知識や思考力を伸ばす必要があるのでは、経済学の基礎を学ぶことが、現代社会の様々な問題を語る上で外せない知識ではないか、ということだった。

 

というわけで、今後この Social theme books でも、経済学の入門書なども取り入れていきたいと思います。

 

では、第5回の更新でお会いしましょう。

アオイこと、Toshikazu Saji でした。

Social theme books 第3回「こうして世界は誤解する」

「留めておきたい本のこと」改め、「Social theme books」第3回の更新です。

今日はこちら。「こうして世界は誤解する」英治出版、ヨリス・ライエンダイク著。

 

こうして世界は誤解する――ジャーナリズムの現場で私が考えたこと

こうして世界は誤解する――ジャーナリズムの現場で私が考えたこと

 

 この本は、もともと「ほぼ日刊イトイ新聞」の以下のリンク先から知った本だった。

http://www.1101.com/zero_journalism/


リンク先の記事をの中にこんな一文がある。
「あと、インターネットが発展したことで、できるようになったことのひとつが、「ゼロからはじめられる」ということです。
例えば、今、私は金融の取材を続けていますが、まったくなにも知らないところからはじめて、これを2年間続けていったら、ある程度、金融について語れるくらいにはなれるんじゃないかと思ってます。
で、そのゼロからはじめますよというところから全部を見せていけるのも、インターネットならではですね。 」

そうか、ジャーナリストにはそういう可能性もあるのか、と思い、本を購入した。

なかなか読み応えのある本で、言い換えれば読みづらい部分もある本で、なかなか読むのに苦戦したのを覚えている。今回再読したが、やはりその印象はあった。でも、それだけの価値のある一冊である。

 

著者は、「報道特派員」として中東に滞在した。
スーダンの紛争、9・11テロとその後につづくイラク戦争
長期独裁政権が続くエジプトやシリア、そして永遠に思われる泥沼状態のエルサレム

この本の著者は、世界中から"注目"を浴びる最前線にいながら、

月日とともに実感したのは「自分が真実を伝えていない」ということだった。

そのジレンマに悩まされながら、「ゼロからジャーナリズムを始める」というアイデアに彼は至る。

 

 

あとがきから一部引用する。

「オーケー、きみの本の内容を一文で説明してくれ。

 私はこう答える。

 あるひとつの状況を一文で説明するのは不可能である、ということを書いた本だよ。」

 

この後、ジャーナリズムが改善すべき5つの点を挙げるのだが、それは実際に本を読んでみてほしい。

その後にはこんな一文が続く。

「最後に、パラドックスについて書いておきたい。本書にも、報道界全体に当てはまるのと同じ歪みがある。この本を書いたとき、観点をひとつに絞って物事を提示するために多くの事柄を除外し、単純化しなければならなかった。だから、私もまた読者を操作しているのだということを、どうか心に留めておいていただきたい。避けられないことではあるのだが、私としては正直に言っておく必要があるだろう。」

 

どうだろう、この正直さ、この勇気。

何かを真摯に伝えようとするとき、正直さと勇気は不可欠だが、

それを同時に必要なレベルで持つことはとても難しいと思う。

それを正直に提示した著者に敬意を表したい。

 

と同時に、この本の紹介サービス「Social theme books」の可能性と限界についても触れておきたい。

 

このサービスは、社会的なテーマに沿った本を厳選してご紹介するというものである。

品質が確かなものであるかどうかは、読者というかこのサービスの受取手に判断は任されている。

もちろん、僕自身はきちんとした本を誠実に届けたいという思いで書くが、

僕というフィルターを通すことで失われるエッセンス、取り上げられなかった本も出てくる。

 

そして、紙あるいは電子の本を読むということは、あくまで二次情報に触れているにすぎない。

今回紹介した「こうして世界は誤解する」の著者に言わせれば、

それは世界の真実を知っているということにはならないのではないか。

そういう、自分自身の活動の限界みたいなものを今回感じた。

 

が、しかし。

確かに、愚にもつかない紙の本を読むくらいなら、有益なネットの記事やツイートを読むことの方が、よほどその人や社会のためになる。そういう時代が来ていることは確かだ。

しかし、それでも一冊の本を読むことに、まとまった一冊の本を読むことには、

それだけのコスト(時間的、金銭的、様々な)を払うだけの価値があると信じている。

読書には、それだけの価値があると信じているからこそ、

このサービス「Social theme books」を始めようと、そして続けようと、

改めて思った。

 

今回は3回目だけど、とりあえず松岡正剛氏の10分の1、

連載100回、100冊の本を紹介することを、当面の目標としたい。

マイペースに頑張ります。

 

それでは、また次回の更新で。

social theme books 第2回「1984 フクシマに生まれて」

ずっと昔、「social theme books」というシリーズで、一度だけ本を紹介した。

今、再び、広く知ってもらいたい本、心に、本棚に留めておきたい本を紹介したい。

という訳で、「social theme books」第2回をお届けする。

 

「1984 フクシマに生まれて」講談社文庫オリジナル。

大野更紗開沼博

 

 

昨日買って今日読破したが、凄い本だった。

この本は、難病を発症したエッセイがベストセラーになった大野更紗さん(著書に「困ってるひと」「さらさらさん」)

原発フクシマの関係性、中央と地方の関係に切り込んだ「フクシマ論」の著者、開沼博さん。

二人とも、奇しくも1984年、福島生まれ。

注目の若手論客二人の対談を始め、二人が6人の各界の論者たちと語り合う、鼎談集である。

 

で、ここで恥ずかしいことを告白すると、僕自身は「フクシマ論」も「困ってるひと」も、買ってはいるがまだきちんと読破できていない、ダメダメな読者である。
この2冊を飛ばしてこの文庫本を評価したりしていいものか、というためらいは正直あるのだが、それを乗り越えて、恥は承知で紹介したい。

それだけ、この「1984 フクシマに生まれて」は読む価値のある本である。

 

大まかにこの本の内容を紹介するために、帯に記された目次を記しておく。

 

「難病でも生きてていいんだ!」ゲスト 川口有美子

「日本人の一万分の一が立ち上がれば、社会は変えられる」ゲスト 駒崎弘樹

原発にいちばん近い病院に移籍して」ゲスト 小鷹昌明

「この国の人たちは、もっと自分に絶望したほうがいい」ゲスト 森達也

「『システムを変えてから』じゃ、間に合わない」ゲスト 茂木健一郎

筑紫哲也的なるものの行方」ゲスト 金富隆

 

難病。社会改革。医療問題被災者の問題。

オウム、3.11、教育問題、報道、批評の抱える課題。

私達がこの数年で得たもの、失ったもの。

様々なテーマについて語り合うこの本、文庫オリジナルという珍しいパターンだが、

お求めやすい価格(税抜き850円)は破格だと思う。

何故この本の企画が文庫オリジナルになったのか不明だが、

倍の値段くらいの価値は十分にあると感じた。

むろん、金銭的価値だけが本の価値ではないが、この小さな文庫本にはそれだけの価値がある。

 

本にまつわる雑誌「ダ・ヴィンチ」では、毎月「プラチナ本」を選ぶが、

個人的にこの本は「2014年2月刊行のプラチナ本」と認定したい。

と同時に、私アオイの「留めておきたい本」第二号としてここに紹介文を残したい。

 

震災後、「社会の役に立ちたい」と思う人の割合が何割か増えたというニュースを見た。

それに共感する、全ての人に読んで欲しい一冊である。

日本を、社会をあきらめたくない人に、ぜひお勧めしたい。

脱原発」「原発推進」の二元論にうんざりしている人にも効く本である。

小難しい本であることは否定しない。

だが、84年生まれ、現時点でいまだ20代の若手論客がこのレベルの鼎談を行えるということ、それ自体が確かな希望だと思う。

一人でも多くの人に、まだ若手と言えるであろう論客が立派に育っているという希望を知ってもらいたい。

 

「生存視聴率」という言葉が文中で出てくる。

その意味については本を読んで頂きたいのだが、

この小さな文庫本の売上が、大野氏、開沼氏の「生存視聴率」に少しでも貢献できればと思う。

僕がこのブログでお勧めの記事を書いたところで、大した影響力など持たないことはわかっている。

でも、自分には自分に可能な範囲のことをやっておきたい。

そう思って、このエントリーを記した。

 

一人でも多くの人に、この本が読まれますように。

 

それでは、また次の記事でお会いしましょう。

アオイでした。

「social theme books」第一回『3.11以降に読むべき本』を一冊だけ選ぶなら。

前回の投稿に基づき、

本の紹介(キュレーション)を不定期にこのブログでしていこうと思います。
(とはいえ、本の情報以外のことも書いていきますが)

紹介するシリーズのタイトルは「留めておきたい本のこと」。

「(心に)(記憶の片隅に)(本棚の一角に)留めておきたい本のこと」

という意味から、このタイトルを付けました。
(追記)2014/2/23 「social theme books」に名前を変更しました。

よろしければ今後もチェックしてみてください。

 

さて、第一回は、「3.11以降に読むべき本」を一冊だけ選ぶなら、

というテーマです。初回なのでとても重いテーマにしてみました。

とはいっても、皆さん既にご存知or既読の方も多くいらっしゃるかと思います。

今更のようにこのテーマを語るのも...という気もしないでもありませんが、

何事も遅すぎるということはない、という言葉を信じて紹介します。

 

現代を生きる、「あの日」以降を生きる私たちにとって、

気になる重要なテーマに選ぶ一冊は、


「やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識」
田崎晴明 著、 朝日出版社

やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識

やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識

です。

 

タイトルの通り、放射線と向き合って暮らしていくために、

私たちが知るべき基礎知識について、なるべく分かりやすくかつ客観的に、

そしてここが重要なのですが、

「わからないこと」を、「わからない」と明記してある本です。

 

僕は、放射線に関する本を大抵読破した!というような

この分野に特別詳しい読者ではありません。

なので、この本に書かれていることがどの程度正しいのか、

僕自身に判断することはできません。

 

しかし、それでもこの本を推す理由は、

「この本の著者は、真摯に真実と向かい合い、

 最低限この程度のことは自分に語れるし、

 ここから先はわからない、と正直に書いている。

 意図的に嘘をつく人に、この文章は書けない」と感じたから。

僕はこの本の文面から、著者の姿勢は信用に値すると判断しました。

なので、科学的な視点から見て正しいからこの本を推すのではなく、

著者の姿勢を信じて、僕(アオイ)という個人の責任において

この本を推す、ということです。

「僕はこの本(この著者)を信じるから、他の人にも読んで欲しい」

端的に言えばそういうことです。

 

「この本を読んだが、信用に値しない」という方もおられるでしょう。

それはそれで構わないと僕は思います。

福島第一原発事故に関して、実に多くの人が様々な意見を表しています。

どの人の意見を、あるいはどのデータを信じるのかは、

最終的にはその人個人の判断によるものだと思います。

 

僕、アオイは個人的に、この本の姿勢と内容を信じるに値すると判断しました。

なのでこの本を、ぜひ多くの方に読んでほしいと思いますし、

読んだ後、安心したり心配したり、何らか行動したり、

読んだ方が各々の判断で、その後の生活に役立てて頂けたらと思います。

 

なお、この本ですが、朝日出版社から普通の書籍として出ている他に、

インターネット上に全文が無料公開されています。

リンクはこちらから。
http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/radbookbasic/

「紙の本を買ってほしい」ではなく、

どんな形でもいいので、この文章を一度読んで頂きたいと思います。

 

放射線は、怖いです。

でも、正確な基礎知識がないと、「正しく怖がる」こともできません。

これは、「正しく怖がるための基礎」を学ぶための本です。

 

本の紹介シリーズ「social theme books」

記念すべき第一回として、この本をお勧めします。

それでは、また次回の更新でお会いしましょう。

人と本の関係性をより良くする、という目標。

僕は地元の新刊書店に勤めるフリーターです。

だから職業を聞かれたときは、書店員と答えるようにしています。

レジ打ちのアルバイトから始めて、かれこれ6年とか7年とかの勤務。

 

その間、ずっと頭のどこかで

「良い本屋さんって何だろう」「面白い本って何だろう」

「どうやったら自分も面白い本屋さんになれるだろうか」

そんなことを考えてきました。

 

そんな自分には、本に関してひとつテーマというか、目標みたいなものがありまして。

それがタイトルの「人と本の関係性をより良くしたい」というものです。

 

いやあ、自分で言うのもなんですけど、青臭い目標ですよね。

ちょっと人前で言うのは恥ずかしい面もあるのです。

どちらかと言えば辺境の地に住む、さほど読書量もない、
正社員でもない、特別な力もない、なんちゃって書店員。

そんな奴が抱く目標としては、あまりにも壮大ですよね。

僕一人が頑張ったところで、どれだけの人に対して、本との関係性を良く出来るだろう。
まあ、そういうのは棚に上げてしまい、話を続けます。

一日平均数百タイトルの新刊が毎日出版され、

沢山の本が詰まった棚から、自分にぴったりくる一冊を見つけるのは至難の技。

良い本、面白い本、その人に合う本。

それはどこかに確かに在るのだけれど、
本と雑誌の洪水に埋もれてしまって、そう簡単には出会えない。

 

だからこそ思うのです。人と本にはもっと良い出会い方があるはずだと。


本屋の棚で見かけた。書評で知った。ネットの記事で見つけた。

アマゾンでオススメされた。どこかのランキングで見かけた。

それら全て、正当な人と本の出会い方だと思います。


でも、その一歩先、半歩先にあるもの。

例えばそれは工夫された本棚。
例えば強力な熱量を帯びたカスタマーレビュー。

正解は決してひとつではないけれど、

僕は僕にできる方法と範囲で、自分の周囲にいる人達に、

良い本、面白い本、その人に合う本と出会って欲しいと願っているし、

そのために様々な行動をしています。

 

書店員に向けたインタビューを受けて、インタビュアー(と、その向こうにいる人達)のために本棚を作ってみたり。

「これは友達数人にオススメできるな」という本を自腹で買って、現物を持って紹介して回ったり。

SNSを使ってオススメの本を紹介したり。
お店を持つ職人さんの友達のために、お店の本棚を作るのを手伝ったり。

屋外で読書するイベントを企画しようとしてみたり。

最近では、自分の街で本のイベントを開くお手伝いをしています。

現在の職場では、本棚を触らせてもらえない立場なので、

本職以外のところで、いろいろな取り組みをしています。


偉そうに語ってはいるものの、

「人と本のより良い関係性」って何なのか、まだ自分自身でもよく分かっていません。

でも、「この本とあの人は合うんじゃないかな」と思うところがあれば、

僕はそこに橋渡しをしたいと思うのです。

こういった取り組みをしていても、給料が増えたりする訳でも何でもないのですが、

人と本を上手に繋ぐことが出来たときは、なんとも言えず嬉しい気持ちになります。


暗中模索。どんなアプローチが正しいのか、押し付けがましくなってないか。

悩みつつもがきつつ、人と本の関係性をより良くするべく、

これからも地道に活動していけたらいいなと思っております。

大した力量はありませんが、本についてのご相談があれば承ります。
書店員かつアクティビストを目指して、これからも頑張ります。

パーソナルブログはじめます。

お知り合いの方、こんにちは。

知り合いでない方は、はじめまして。

アオイと申します。

 

島根スサノオマジックについて僕が語るなら」という、

bjリーグの地元チームを応援するブログを書いていた者です。

 

いろいろと思うところありまして、

バスケだけのワンテーマではなく

個人的な好奇心に基づく様々なテーマについて書いて残しておける、

パーソナルブログを立ち上げることにしました。


所属する組織などには関係なく、全く個人的な好奇心によって

自由きままに書いていこうと思います。

初回の投稿は何もコンテンツはありません。

まずはご挨拶まで、という感じです。
いろいろ書いていけたらいいな、と思っています。

 

パーソナルブログを始めようと思ったきっかけは、

「より楽しく生きていくために、発信する場、

 発信したものをストックしておける場が欲しかったから」

という感じです。

大げさに言えば、生きていくためにブログを新しく始めようと思います。

かたい話題も、やわらかい話題も、あくまで個人的な目線で。

よかったらこれからも読んでみてください。

 

それでは、また。